関わりたくないくせに自己顕示欲は強い人々
これらは有名な経済研究所の上級エコノミストという肩書きをもった人がマスコミの対談でしゃべっていた。ノーコミットメント・シンドローム(症候群)というのがあるらしい。一言で表現すると、結果に関わりたくない、責任を負いたくないと思う人たちのこと。
たとえば家を買うとか、自動車を買うとか、就職する、結婚するなど。家や車を買えば長い間、ローンに苦しめられる。結婚・就職は、生活に責任を負い、成果に義務が生じてしまう。それらを嫌う人が多くなった結果、家賃暮らしの独身が増加し、シェアハウス、シェアカーリングなどのニーズが増加の一途をたどっているという。
しかし重大な結論や判断に責任を負わず、静かにのんびり生きたいとする一方で、自分の存在感は示しておきたいという顕示欲は反動で高くなるとも。その格好のツールがツイッターや口コミらしい。
悪質な口コミは匿名を隠れみのにしたイジメと同じ
口コミの質が落ちている。自己顕示欲によるSNSへの参加は、先ほどの行為とは裏腹で、コミットメント症候群と呼ばれている。重大な結果に関わりたくないなら口コミにも参加して欲しくはないが、そういう人に限って無責任な言葉を悪ふざけで書き込み、読み手の反応を楽しんでいる。関わらない抑鬱した反動で、憂さ晴らしのように書き込んでいるのも多い。
私は小さな頃から心臓に病を抱えている。1級の障害者手帳をもっている。また42才のときに胃がんを宣告されて抗がん剤治療を受け、吐き気や脱毛、治らないかもという絶望感にも奈良増された。年に最低でも1回、もう5回以上の投与を受け、仕事の関係上もああって医療用のかつらを手放すことはできない。
私は弱小でも出版社に勤めているので、情報収集や取材はお手のものとみられがちだが、職域が違うので情報をチェックするのはインターネット。検索する度に、あまりにも多い冷やかし・悪ふざけの口コミに腹が立つこともある。
「心臓」、「難病」、「ハゲ」、「脱毛」、「薄毛」、「かつら」~。そういった単語を目にする度に、胸元をグッサリ刺されたような衝撃を受けてしまうが、口コミでは平気でそれをからかう。ときには炎上目的でケンカを売っている書き込みもある。
失礼だが、そんな暇があるなら、正しい、役に立つ情報発信のために自分の時間を使い貢献して欲しい。あるいはノーコミットメント症候群の人であるなら、はけ口を口コミに求めないで欲しい。
障害、医療、福祉や介護のエリアでは、夜寝る時間を削って、明日のための切羽詰まった情報を検索している人が多い。助けて欲しい人のところにわざわざ出かけて行って、からかうような行為はやめてもらいたい。