ニッチな市場の口コミはどこまで信じるべき?
インターネットが普及して、みんなが口コミを利用しはじめた当時は、ごく限られた出来事や店舗・サービスなどに口コミ・書き込みが寄せられる程度でした。だから「口コミが集中するところは話題性のあるところ」というネットユーザーの認識ができて、まるで雪だるまみたいに増えていったのです。
口コミが限られた世界だったころは、「善意の書き込み」、「悪意のある書き込み」、「面白半分」、「絶対ウソ」、「これはホント・本気」など、意外と早く見抜けました。ところが最近は口コミの領域がネット上のほぼすべてに広がったせいもあって、真偽や程度の深さがわかりにくくなっています。
たとえば同じかつらでもファッション用ではなく、ニッチな市場で全体からみると利用者は少ないと思われる医療用かつらにまで口コミが増えています。しかも内容が厚ぼったいというか、けっこう深い内容が多いのです。医療用なのでみなさん真剣なのでしょうか。
たとえば「あのメーカーのかつらは髪の質感や手触りがいい」とか、「以前にくらべるとボリュームがふわっとして増えた」といったリピーターと思える体験者からの書き込みもかなりの数、みつけることができます。ごく一般的な商品なら簡単にそれを信じて辿ったりはしませんが、そこに書かれていた会社名(メーカー)やかつらのブランド名を追跡して、サイトを見つけ出しました。
“返却無料、メンテナンスいつでも”が本気の証
そのメーカーはアンベリールと言って、かつらを専門に長年こだわりつづけ製作をしているところです。どうやら書き込みで質感や手触りのことを言っていたのはこのせいだなと思ったのに、こんな記述がありました。その「シルフィ」という医療用のかつらは、『人毛と耐熱毛の2種を使って、さらに複数の色をミックスすることで本物の髪の色やツヤに近づけている。その結果、より自然で美しい毛髪になっている』という内容でした。『試着や返却も無料で、気に入らなければ送り返してもらってもOK、使用中のメンテナンスには何回でも応じる』という、この会社の方針のようなことも、サービスの一環として継続されているようです。
ネットの世界、とくに口コミの世界には怖いものがあります。ウソの書き込みで、いい加減な業者のサイトに誘導されてしまったらどうしようという迷いです。自分の判断力のなさが露呈してしまうことで、自分に嫌気がさしてしまう怖さもあります。しかし、不思議なことにメーカーの本気度の厚薄というのは、このかつらメーカーだけではなく、どんなサイトからでも伝わってきます。
私はわけあって医療用かつらを探す立場から検索をつづけていますが、“返却無料、メンテナンスいつでも”というのは、真剣でまっとうなメーカーの証拠だと考えるようにしました。あと少し他社メーカーの製品を探したら、選択して発注する予定です。一時は、口コミを避けていた時期もありましたが、頼れるものの出発点はやっぱり口コミと思い直し、自分の判断力を信じるようにしています。