医療用のすべてが高品質・高機能ではない
医療用かつらを選ぶ人の中には、「医療用なのだから、どのメーカーのかつらを選んでも品質や機能は良いに決まってる」と思い込んでいる人がいます。たしかに普通のファッション用かつらにくらべれば品質も機能もいいでしょう。
しかし医療用といってもメーカーの考え方はさまざま。技術や職人さんの手間の掛け方にも違いがあります。どれだけのコストを何処にかけて、利益をどれくらい生み出すか、そういった経営戦略によっても相違が生まれます。
口コミによくある「医療用かつらなのにズレる、ムレる!」というのには、いくつかの理由があります。その中には製品上の優劣もあれば、購入者のミスもあります。お手元の医療用かつらをもう一度チェックしなおしてみましょう。
そもそも選んだサイズはあっているか?
医療用かつらにも基本のサイズがあります。メーカーによって異なりますが、3種類~5種類あります。
サイズを測るときの採寸法は正しいか?
サイズ選びの前に、購入希望者が自ら頭のサイズを測る必要があります。額の中央から首の後ろに斜めにメジャーを通して図ります。正しい採寸法は、メーカーのホームページなどで確認してください。
脱毛前と脱毛の最中の違いは考慮した?
脱毛が始まると毛が抜けた分だけ頭のサイズが小さくなります。それにあわせてフィット感を高めるには、医療用かつらに付いているアジャスター機能が大事。縫い付けが弱く糸が劣化すると、その機能が失われます。
後頭部にできる余分な膨らみがズレの原因
次にお話しするポイントは、メーカーの製品の優劣に関わるポイントです。ここでは、口コミにある医療用かつらの“ズレとムレ”にポイントを絞ってご紹介しましょう。ポイントは2つです。
ベースネットそのものに余分な膨らみは?
最近の医療用かつらはシリコンやウレタンを使わず、全体がネット構造になっています。しかし同じネット構造でも縫製の仕方が悪いと頭部から後頭部にかけて、余分な膨らみ(空洞)が生まれます。その分だけ不安定になりフィット力が失われ、かつらがズレやすくなります。
地肌に触れる人工肌の幅は広い?狭い?
かつらの通気性は衛生面にも関わってくるので非常に重要。そのカギを握るのが、スキンネットと呼ばれる人工肌です。狭いものでは幅が5㎝程度。広いものでは11.5㎝もあります。この広さによってムレる度合いが違ってきます。
さらに注意事項としてお話ししておくと、ベース部分がシリコンやウレタンでできているかつらは、重たいだけではなく、着用時の重点が頭の上にあるため、かつら自体が不安定になりズレやすくなります。
重たい分だけ負荷がかかり汗をかくので、ムレやすく不衛生。“ムレる、ズレる”の大きな要因になっています。リハビリ用のかつらは、就寝時以外は着用しておきたいものです。できるだけ軽いものを選びましょう。