ネット上で騒がれているのは男性タレント
30才になった誕生日の次の日に悪性の腫瘍が見つかって、抗がん剤の治療を受けました。ダイエットもしていないのに痩せて、抗がん剤の影響で脱毛してしまうと、まるで別人のように外見のイメージが激変するため、退院してから会う人の目が、あきらかに戸惑って宙を浮いてしまったり、仰天してドン引きみたいに後ずさりしてしまう人さえいたりします。無理もないことですが、患者本人としては、そう見られてしまうことに相当のショックを受けてしまうものなのです。
先生に聞いたところ、現在でも脱毛を防止する治療法や薬は開発されていないそうで、私の対処法としても、かつらを着けるかバンダナや帽子で隠すしか手はないということが分かりました。自分の毛が生えるまで半年-1年と聞きましたが、自分を隠すというより、相手に与えるショックをどう和らげるか、私はそのための道具としてかつらの存在を考えるようになりました。
ネットで検索していると、けっこうな種類の医療用かつらが販売されていることに気づきましたが、同時に、「あのタレントは絶対ズラだ」という噂でもちきりになっているブログにも行き当たったりして、参考のためもあってけっこう覗いてしまいます。ところが口コミでターゲットにされているのは男性タレントのほうが圧倒的で、女性タレントが標的になっているものはありませんでした。
女性のかつらは隠すための道具じゃないんだ
それに気づいたとき、私の中に衝撃というか電流のようなものが走りました。「そうか!いままで私は、かつらで隠すことばかり考えていたけれど、女性にとってのかつらはもともとファッション。男性のように、薄毛を隠したりごまかしたりする道具に使う必要はないんだ」と悟りました。ファッションの一部として楽しく明るく被っていれば、出会った人や久々に再会した人の気持ちも明るくできる。相手がビックリして自分がショックを受けることもないのです。
その割り切りは大正解でした。「私、抗がん剤治療で毛が抜けちゃって、コレ、被ってるの」、着用後に会った人にそう告白しても、「たいへんね」と心配顔をする人は1人もいませんでした。「そうなんだ。でも明るそうで安心した」とか、「元気そうだからゼンゼンわからなかった」、「一緒にいると私まで元気になっちゃう」など、ポジティブな反応ばかりが返ってきて、「今度、無理じゃなかったら××に行かない?」など、次の約束を楽しみにしてくれる友だちまで出現しました。
男性にはむずかしいと思いますが、女性用のかつらって、自分さえ割り切れば、周囲までこんなに楽しくしていけるということが実証できました。通販で2つをまとめ買いした超割引価格の医療用かつらですが、機能性がすごく良くてお気に入り。いまはド派手なコスチュームふうの色合いやカット&カールの商品を追加発注して、「私のかつらコレクション」をスタートさせています!