前向きになることが、最高の治療薬に!
引き籠りの私でもブログや口コミに励まされて
抗がん剤の影響で脱毛してしまった私は、身体が弱っていることもあってとても外出するような気になれない、いわゆる引き籠りのような生活をしています。誰にも会いたくない。けれども世の中の動向や変動、ニュースとはつながっていたい。そんな気持ちを抱えて現実とのギャップに苦しんでいます。口コミサイトやブログを覗きながら、「もしインターネットという通信手段がなかったら、いまの私は生きる気力をなくしているだろうな」と、ぼんやりそんなことを考えることがあります。32才の私は子宮にガンができて、もう1年近く会社を休職しています。
こんな生活ばかりつづけていられないと思ってみても、抗がん剤治療を継続している限り抵抗のしようがありません。しかしあるときブログを覗いていたら、「抗がん剤の治療中でも、医療用のかつらを着けて気分転換したら、こんなに元気になりました!」という書き込みを見つけ、その跡を追ってみました。同じような悩みをもっている人が相当いるみたいで、とくに女性からの応援メッセージがたくさん寄せられていました。こういうサイトや口コミには“悪意の書き込みがない”というのが特徴です。たった一言でも、その人の背景や体験のすごさを感じることができて、私も励まされます。
私にも“できるチャレンジ”はあるはず!
そこで私は、何もしないよりマシだと割り切って、そのブログの中にあったように、医療用かつらを購入して自分でも何かにチャレンジしてみようと考えたのです。女性患者のことを考えてつくられたかつらは、自宅から通販でお願いしても翌日には届いて、試着もできるというものでした。
医療用なので通気性が良く、毛髪のボリュームが減ったり増えたりしてもフィットできるようにサイズを微調整できる機能がついていました。自宅にかつらが届いた時点では、2週間後に再入院して抗がん剤治療というスケジュールでしたが、幸いにもここ数日の体調は良く、外出もできそうな気分でした。試着したかつらには多少の違和感がありましたが、カットやカールの無料アレンジもしてくれるというので、とりあえず購入することに決めて、試着用を着けたまま外出することにしました。
投獄されていたわけではないのに、自分の意思で思うように外出できるということは、こんなに素晴らしいことなのかと、あらためて“挫けずに一歩でも前にすすむチャレンジの大事さ”を痛感できました。
帰宅後すぐに、取り寄せた医療用かつらのアレンジをお願いして、その数日後には休職中の会社に出向くことにしました。会社の上司にお願いして、休職中でも自宅のパソコンや病室でできる仕事はないか、交渉してみるつもりです。元気を出して社会とつながることが、自分にとっての最高の治療薬であると気づくことができました。